11月2日(月)誕生日


くるり - ロックンロール

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子どもが生まれました。
帝王切開で生まれました。
母子共に健康です。
本当に安心しました。

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手術中、病室で待っていました。
外はやや曇り。テレビのワイドショーは明日に控えたアメリカの大統領選の話。(トランプとバイデンの攻防を伝えていました。)
少し開けた窓から風が入り、カーテンを揺らしていました。
読んでいる本も頭に入らず、音楽でも聴こうとiPodを操作していたら部屋のブザーが鳴りました。
「〇〇さん、子どもが生まれましたー
2階まで降りてきてくださーい」

はーい、と返事をして、スマホとカメラをポケットに入れ急ぎます。ちょっと走ってしまいました。
2階に行くと看護師が待っていて、生まれた時刻、性別、体重など伝えてくれました。
「そこ(隣のガラス)に赤ちゃんいます。そこから赤ちゃん見れますので。写真も撮れます。」
ガラス越しから見た、保育器に入った赤ちゃん。赤ちゃんがいました。まだ手はふやけて白く、髪の毛も濡れていました。
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意外にも僕は冷静です。なんだか実感が湧かない。
動物園や水族館のようにガラス越しに生き物を見ている感覚。この子が僕と妻の子どもか。ふむ。そうか。なるほどね。
写真を撮らないと。コロナの影響による規則で病院に入れるのは夫の私だけ。だから両親にせめて写真だけでも見せないといけない。そんな気持ちで写真を何枚か撮りました。

ちょっとして、妻が手術室から出てきました。
寝たままです。顔は疲れています。唇も白い。
本当によく頑張りました。頭が上がりません。
看護師さんが妻を赤ちゃんの隣までストレッチャーごと近づけてくれました。彼女はじーっと我が子を見ています。彼女も冷静、に見えました。真意はわかりません。

このあと、彼女は明日まで回復室で静養するそうです。僕も面会制限があり、もう帰らなければいけません。
労いの言葉を伝え、病院をあとにしました。

以上、備忘録。



子どもが生まれました。
帝王切開で生まれました。
将来君は母親のお腹のキズを見て何を思うのでしょう。君はここから生まれてきたんだよ。そう伝えると君はどんな顔をするのだろう。今から楽しみです。

こちらの都合100%でこの世に生まれた君。
正直、申し訳なくも思っている。この先、辛いことや悲しいこともきっといっぱいあるから。

なのになんで子供を生むのか。ここ最近ずっと悩んでいた問いに僕なりにひとつ答えができた気がします。
それは大切な宝物が増えるということ。
結局、出産とは子を育てるとは、親のエゴから切り離せません。
でも、僕にとってかけがえのない、大切な人、愛する人がもう1人増えました。これはすごいことです。数少ない宝物がひとつ増えたんです。
血が繋がってるからじゃない。たまたま君は血が繋がっていただけです。たまたま。きっとそうだ。

愛されなくても愛することはできる。
だから僕は100%君に愛を注ぐ。君はとりあえず100%愛されてくれ。
そして君が僕達を愛するかどうかは君が決めてくれていいんだ。


聴かせたい音楽がいっぱいあるんだ。
読んでほしい本もいっぱいある。
観せたい景色もたくさんある。
気に入ってくれなくてもいいし、気に入ってくれたらそれは嬉しい。
押し付けがましくないように、そっと薦めるつもりだ。運転中にカーステレオからしれっと好きな音楽を流し、本棚に読んで欲しい本をそっと忍ばせるつもりだ。

君は動物を好きか分からないけど、もし好きだったら、新婚旅行で行ったアフリカに一緒に行こう。
愛する人達と大好きなことを一緒に出来たらそれはきっと最高なことだ。
僕は今そんなことを考えています。
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