10月8日(木)

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智に働けば角が立つ 情に棹させば流される 意地を通せば窮屈だ

とかく人の世は住みにくい

 

夏目漱石草枕」冒頭のパンチラインである。

僕はこの文章が大好きだ。音読して心地いいし、視覚的にも美しく、人間関係の本質を突いている。走攻守の揃った完璧な文章だ。

 

夢十夜・草枕 (集英社文庫)

夢十夜・草枕 (集英社文庫)

  • 作者:夏目 漱石
  • 発売日: 1992/12/15
  • メディア: 文庫
 

 

 

 

最近僕の頭を悩ます哲学問題がある。

Q.あなたは何故、子供を生むのか。

 

この期に及んで悩んでいる。 

僕自身、生きるのってしんどいなあとか、人生って楽しいことより辛いことの方が多いよなあと思っている。常々思っている。暗い人間だ。ハハッ。

それなのに、その住みにくいこの人の世に、かわいいかわいい我が子を本人の許可も得ず強制参加させようとしている。(許可の取りようがないけども)

もちろん、生まれくる子どもを全力で愛す準備は出来ている。それはもう疑う余地もないくらいに。ほんの少し、たった少し、たった1ミリだけでも子供を幸せの方へと導くつもりなくらいだ。

 

ただ、一体どういうご了見で子供を産まんとしているのか。腑に落ちる理由が見つからないのだ。

それはつまり、大した理由もなく子供を産むことになってしまう。

僕はとても無責任なことをしようとしているのではないか。

そんな風に考えてしまう。

 

僕(と妻の)のエゴで子を生むのはわかっているけど、もう一つ理由が欲しい。そもそも理由なんていらないのかもしれないけれど、建前の理由が後付けでもいいから欲しい。

子供を産むことに納得したい。それだけだ。これもエゴだけど。

 

なぜ人は子供を産む(育てる)のだろうか。ネットで調べてみた。

 

子供は可愛いから。

結婚したから。

親になってみたかった。

国が滅びないため。

親孝行。

自分を成長させるため。

 

色々と出てきた。

なんか違う。どれも違う。しっくり来ない。

さらに調べていくと「反出生主義」なる考えを発見した。

 

反出生主義(はんしゅっしょうしゅぎ、: Antinatalism)とは、子供を持つことに対して否定的な意見を持つ哲学的な立場である。

 

 ショーペンハウアーは、人生は苦しみの方が多いと主張し、最も合理的な立場は子供をこの世界に生みださないことだと主張する。子供は、親・出生地・時代を選べない点から、ノルウェーの哲学者Peter Wessel Zapffeは、子供が同意なしに世界に生み出されることにも留意している。

なるほど、、

 

なるほど。 。。  なるほどね。

哲学として確立しているのね、こういう考え方。

似た考えの人達がいることに少し安心もしたし、悲しくもなった。そうですか。何だろかこの気持ち。

仮に親しい友人がこうした理由で子供を作らないことを決断したとしたら、それは全然納得できるし、ちゃんと子供を育てることに向き合ったんだなとも思うだろう。

ただ、その友人の親が子供を作っていなかったら、つまりその友人はこの世に存在していないわけで、それはとても悲しい、というか残念なことだな、と思った。数少ない友人がさらに減ってしまうことになるわけで。

 

ちょっと何が言いたいのか分からなくなってきたのでそろそろ終わりにする。

 

何にしろ僕の納得のいく答えが見つかろうとも見つからなかろうとも、君は生まれてくる。

そのうち、わがまま言うな!だなんて叱ってしまうこともあるかもしれない。

こちらのわがままで、君を産んだというのに。

思いやりを持て、などと人の道を説くかもしれない。未熟な自分を棚に上げて。

 

どう育て、どう育つのか。きっと答えの出ない悩みは尽きないに違いない。

答えが出ているもの。それは君が生まれたら僕は嬉しいし、楽しみだということ。それだけは確かだ。

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